旅の初期は知らないものを見て興奮し、知らない土地を歩きビクビクし、知らない人と会話して笑ったり、知らないものを食べて膝をうったりしていた。

未知との遭遇をぼくを少なからず成長させていった。

そして多くの国への興味が尽きず、短期集中で国のスタンプ集めをするようになった。

たった数日でその国をわかったつもりになっていた。

わかるわけないのに。

ドヤ顔でその国のことを他の旅人に語っていた。

あるときは2週間で5カ国10都市くらい廻る駆け足の旅をしたこともあった。

思い出なんてほとんどない。

よく雑誌やTVで見る景色を焼き増しして自分の網膜に映し直したくらいのイメージ。

楽しくなかったわけじゃないけど、密度は薄い日々を過ごしていた。

有名な観光地を巡り、みんなが食べたいものを食べて、そして移動。

そんな旅をしていた。多くの海外旅行好きの方と同じように。

そしてそれが変わったのがカンボジアへ行った旅だった。

10年前の初カンボジアがぼくを変えた。

続く

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